──年齢を重ねると、身体は変わる。
それは本当に「衰え」なのでしょうか。──
雨の日のレッスンのあと、
ふと首や肩に痛みを感じることがあります。
「もう無理が効かない歳になったな」
そんな言葉が、思わず浮かんでしまう日もあるかもしれません。
でも──
それは本当に、“衰え”なのでしょうか。
若い頃の身体は、
多少の無理をしても、動いてしまうものでした。
疲れが残っていても、
少し痛みがあっても、
なんとなくやり過ごせてしまう。
けれどそれは同時に、
自分の身体を“雑に扱えてしまう状態”でもあったのだと思います。
一方で、年齢を重ねた今の身体は、
とても正直です。
無理をすればすぐに反応が出る。
違和感ははっきりと伝わってくる。
けれどそれは──
「動けなくなった」のではなく、
「感じ取れる精度が上がった」ということ。
大人になってからのバレエは、
“できるかどうか”だけで測るものではありません。
その日の身体と対話し、
今日の状態に合わせて動きを選ぶ。
それはまるで、
深呼吸のリズムに合わせて踊るような感覚です。
無理が効かない、ということは、
違う言い方をすると、無理をしなくていい身体になった、ということ。
丁寧に扱えば、きちんと応えてくれる。
無理をすれば、きちんと教えてくれる。
そんな身体へと、少しずつ変化しているのです。
若い頃は、勢いの中にどこか雑さもあった。
今は、一つずつに向き合い、ケアしながら進める余裕がある。
これは退化や衰退、どころか成長し進化をし続けているということ。
また、わたし自身のバレエとの関わり方も年々変わっていきます。
踊ることから、伝えることへ。
見せることから、導くことへ。
身体の役割が変わることで、
求められる動きや感覚もまた、変化していきます。
もし今、
身体の変化に戸惑っているなら──
それは、終わりではなく、進化。
次のステージへの準備なのかもしれません。
年齢を重ねることは、
何かを失うことではなく、
“自分との付き合い方が、少し上手になること”。
どうか焦らず、力まず。
深呼吸をひとつするように、
今日の自分の身体を受け取ってみてください。
その中に、これまでとは違う美しさが、
きっと見えてくるはずです。
■ シリーズ『深呼吸のリズムで踊る、大人のためのバレエのススメ』
このシリーズではquatre-quarts ballet studio 講師の「わたし」が
日々感じたことを徒然に綴っています。
一旦このシリーズは今回で最終回。
もしまだこの先も一緒に歩んでいただけるのであれば、
続編も綴ってみようかな、っと。
ご感想もぜひお寄せくださいませ。
このシリーズはこのバナーが目印。ぜひ他の投稿も遡ってご覧ください。
文:quatre-quarts ballet studio 講師の「わたし」



