日々立ち止まることなく流れる情報の渦。
スクロールしていると、
ほとんどのイメージは、通り過ぎていく。
一瞬、目に入って、
すぐに次のものへ。
けれど、ときどき——
なぜか立ち止まりたくなる一枚がある。

白く整えられた、小さな花の集まり。
そのかたちは、どこか静かな満ちを感じさせる。
それはまるで、光を持たないはずの月が、
ふわりとそこにあるかのように。
そして、その周りに散らされた
いくつかの小さな花。
こぼれ落ちたようにも、
そっと置かれたようにも見えるそれらは、
どこか“流れ”の始まりを予感させる。
その流れは、やがて色となって現れる。

淡く、しかし確かに存在する光のグラデーション。
スカートに広がるその色は、
単なる染色ではなく、
月からこぼれたインクのように、
ゆっくりと、静かに広がっていくようにも感じる。
これは、ひとつのスカートでありながら、
同時にひとつの“アート現象”でもある。


MOONBOW——
月の光が、条件の揃ったときにだけ現す、
儚い虹。
その曖昧で、美しく、
捉えきれないものが、
かたちとして留められている。
彼女のこのビジュアル作品において大切なのは、
スカートそのものだけではない。
花(月)の配置、余白、色の置き方。
それらすべてが、ひとつの意図を持って構成されている。
アリスさんの感性によって生まれる色彩は、
その描かれたままに、布へと移され、
そのまま身に纏うことができる形へと変わる。
ウェアラブルアート。
けれど、それは完成ではなく、
“途中の瞬間”を留めたもののようにも感じられる。
SNSの中では、
どうしても多くのものが流れていく。
だからこそ、
この一枚は、少しだけ立ち止まって見てほしい。
何が描かれているのか。
どこから始まり、どこへ流れていくのか。
その視線の中で、
この作品は少しずつ形を変えていくはずだ。
それは、身に纏うものとして。
あるいは、そっと手元に置いておきたくなるものとして。
どちらであってもいい。
ただひとつ確かなのは、
この作品が、見る人の中に静かに残るということだ。

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BALLET SKIRT // MOONBOW
Designed by Alice

文:加賀サクラ(九十九デザイン発掘社)
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